2019年10月1日から幼児教育(保育料)が無償化されることを、みなさんご存知でしょうか?
これは10月に予定されている消費税の増税を財源として、少子高齢化対策のために内閣府が進めている政策です。
あぶベビー
あぶそ
あぶベビー
普通、”幼児教育無償化“という言葉だけを聞くと、すべての幼児の保育料が無償化されると思いますよね?
実は実態は全く違うんです!(本当にややこしい制度です。。)
そこで制度の全貌を明らかにするために、私は市役所へ出向いて職員の方に徹底的に内容を確認してきました。
今回はその内容をどこよりも分かりやすく解説したいと思います。
この記事を読んでいるあなたも幼児教育無償化を勘違いしているかもしれませんよ!
目次
幼児教育無償化の制度概要について
無償化の対象世帯は?
幼児教育無償化の対象となる世帯は、基本的に幼児の年齢によって条件が分かれていて以下のいずれかに該当する世帯が対象となります。
0歳~2歳 : 住民税非課税世帯
3歳~5歳 : 幼稚園、保育所、認定こども園等の利用世帯
それぞれの年齢ごとの条件について詳しく見ていきましょう。
0歳~2歳の無償化について
0歳~2歳までの幼児は”住民税非課税世帯“でないと保育料が無償化になることはありません。
あぶベビー
では、ここでいう住民税非課税世帯とはいったいどのような世帯のことなのでしょうか。
おおよその目安ですが、例えば
<例1>
・会社員
・専業主婦(主夫)
・子ども2人
例1のような4人世帯の場合であれば年収255万円以下で住民税非課税世帯となります。
<例2>
・会社員
・専業主婦(主夫)
・子ども1人
また例2のような3人世帯の場合になると年収205万円以下で住民税非課税世帯となります。
どうでしょうか?結構ハードルが高いと思いませんか??
一般的なサラリーマンの平均年収が約500万円と言われているので、この要件を満たすことがどれだけ難しいかが分かっていただけるかと思います。
あぶベビー
あぶそ
あぶベビー
そうなんです。実は住民税非課税世帯であってもすべての幼児の保育料が無償になるわけではありません。
通っている施設によって、完全に無償化されるのか一部上限付きで無償化されるのかが変わってきます。
それでは詳しく見ていきましょう。
通っている施設 | 無償化範囲 |
保育園(許認可) | 完全無償化 |
認定こども園 | 完全無償化 |
認可外保育施設等 | 月額4.2万円まで無償化(※保育の必要性有) |
保育園(許認可)と認定こども園は地方自治体から認可を受けている施設となります。これらは施設の保育料を市が定めているため、保育料は完全に無償化となります。
一方で認可外保育施設については月額4万2千円を上限として無償化となります。これは保育料を認可外保育施設が独自に定めているためです。
あぶそ
ただし、認可外保育施設に通っている幼児がみんな月額4万2千円を上限に無償化の対象となるかというとそれも違います。
認可外保育施設等に通っている幼児のうち、「保育の必要性」が認められている場合に限り無償化の対象となります。
例えば、両親が共働きの場合や保護者が2人目以降の子供を妊娠、出産をした場合、親族の看護ある場合等さまざまな要件があります。
あぶそ
3歳~5歳の無償化について
続いて3歳~5歳までの幼児の場合を見てみましょう。
3歳~5歳までの幼児は、通っている保育施設によって細かく無償化の範囲が分けられています。
通っている施設 | 無償化範囲 |
保育園(許認可) | 完全無償化 |
認定こども園 | 完全無償化 |
認可外保育施設等 | 月額3.7万円まで無償化(※保育の必要性有) |
幼稚園(許認可) | 完全無償化 |
幼稚園(認可外) | 月額2.57万円まで無償化 |
幼稚園(預かり保育) | 月額1.13万円まで無償化(※保育の必要性有) |
保育園(許認可)、認定こども園、認可外保育施設等については、0歳~2歳までの住民税非課税世帯の無償化範囲とほとんど変わりません。
違いは認可外保育施設等の無償化の月額上限額が、0歳~2歳は4.2万円だったのに対し、3歳~5歳は3.7万円となっているぐらいです。
3歳~5歳で大きく異なるのは、「幼稚園」の部分になります。
幼稚園も市から認定を受けている施設(許認可)とそうではない施設(認可外)によって無償化の上限額が変わってきます。
また、幼稚園の預かり保育についても上限額付きで無償化の対象になってきます。
あぶそ
ここまでの内容をまとめた資料が内閣府のHPからダウンロードできるので、一度確認してみてください。
※幼児教育無償化の資料はいくつもありますがこの資料が一番わかりやすいです。
給食費は無償化の対象になるの?
あぶベビー
あぶそ
もう少し詳しく解説します。
保護者が施設に支払う代金としては、自分の子供を預かってもらう保育料と子供が食べたご飯の代金である給食費を支払っています。
今回の幼児教育無償化制度は、あくまで幼児の「教育」に対しての無償化事業であるため、保育料は無料になっても、給食費はこれまで通り支払わなければなりません。
あぶベビー
そうなんです。幼児教育無償化が始まると言いながら一方で給食費は値上がりします。
そのからくりについて説明します。
保育所から幼児に提供される食べ物は、主食(食事)と副食(おやつ)の2種類が存在します。
この副食というものが厄介でして、、、副食費(おやつ代)は実はこれまでは保育料の中に含まれていました。
あぶベビー
つまり、これまで支払っていた保育料というのは、実は知らないところでおやつ代も含まれていた代金を支払っていたということになります。
しかし、無償化の範囲としておやつ代は教育とは関係ないので、給食費が無償化の対象ではないのと同様に、副食費も無償化の対象から外されることになります。
そこで、副食費が保育料から切り離され、給食費が主食費(食事)と副食費(おやつ)を合計したものに変わるのです。
<2019年9月まで>
給食費 = 主食費 (※副食費は保育料に含む)
<2019年10月以降>
給食費 = 主食費 + 副食費
あぶそ
同様の考えで通園のための送迎費や行事費等は無償化の対象には含まれません。
幼児教育無償化と言っておきながら、保育料が全額無償化とならなかったり、給食費があがったりするのはこういったからくりがあったのです。
※0歳~2歳の住民税非課税世帯については給食費(主食費+副食費)も無償化の対象となります。
無償化はいつから始まるの?
制度の施行時期は、消費税増税と同じ2019年10月開始となります。
スケジュールも含めた詳細な情報は以下に内閣府のリンクを貼っておくのでそちらも併せてご参照ください。
参考 幼児教育・保育の無償化概要内閣府
幼児教育無償化で何が変わるの?
幼児教育無償化はどの程度お得なのか?
「幼児教育無償化」という言葉を全面的に出しておいて、0歳~2歳児は対象範囲が狭かったり、認可外施設は上限額がついてたりと全然無償化になっていないんですよ。
ということで、あぶそ的には
あぶそ
というのが本音だったりします。
結局、完全無償化の対象は自治体から認可されている認定保育施設のみとなり、認定されていない認可外保育施設では無償化の対象金額に上限が設定されていたり、”保育の必要性”が認められないといけなかったりします。
要するにもとから人気のある認定保育園は今回の無償化に伴ってさらに人気が上昇し、認可外保育施設は無償化の恩恵も限定的になることから、ますます人気が下降することが予想されます。
あぶそ
認定保育園 : もともと人気が高い。無償化対象施設となりさらに人気になると予想。
認可外保育園 : もともと人気が低い。無償化には保育の必要性がいるためさらに人気が減ると予想。
幼児教育無償化は待機児童問題の解消につながるのか?
子育て世帯の悩みの1つに待機児童問題があります。
あぶベビー
あぶそ
果たして今回の幼児教育無償化制度が待機児童の減少につながるのでしょうか?
答えはノーであると考えています。
その理由はシンプルで、認定保育園はそもそも保育料が安く、何もしなくてもそもそも人気が高いのです。人気が高いから入園希望者が殺到してしまい待機児童がでてきてしまう。今回の幼児教育無償化によってさらに認定保育園の価値(需要)が高まり、入園希望者は今以上に増えると想定されます。
そのときに、「第一希望の認定保育園は落ちちゃったから認可外の施設でもいいや」と思える人が果たして何人いるのでしょうか。せいぜい全体の数%~10%前後あたりではないでしょうか。
つまり、人気のある保育園と人気のない保育園の2極化が進み、人気のある保育園に入るための倍率が上がることで待機児童の数はますます増えると予想しています。
結局、認可外保育園でもいいかな?と思える人が増えない限り、待機児童の問題は解消しないのです。
どうすれば待機児童問題は解消するのか?
あぶベビー
あぶそ
待機児童の問題の解決策の1つに「保育園の数を増やせばいいじゃないか」という意見がありますが、これは半分正解で半分間違っています。
ただ、単純に保育園の数を増やしても、利用者がいなければ結局待機児童問題は解決しません。
正しくは「認定保育園の数を増やす」ことが必要となります。
あぶそ
あぶベビー
今後、認定保育園の数が増えて待機児童が減ることを切に望んでいます。