
みなさん、初めまして。SE(システムエンジニア)歴10年のあぶそと申します。
さてさて。
最近はTVを付けると朝から晩までコロナ関連のニュースばかりですね。
その中でも今注目されているのが、政府から全国民へ配布される10万円支給だと思います。
でもこれって自分たちがいつからもらえるか知っていますか?
なかなか正確に答えらる方は少ないと思います。
ズバリ答えは、
「住んでいる自治体によってもらえる時期が異なる」
っていうのが正解なんです。
なので早い自治体ではすでに10万円の支給申請書が手元に届いていたり、実際に10万円が振り込まれたりしています。
ただし、それはごく一部の自治体であって多くの自治体はこれから支給されることになりますのでご安心を。
結局それだけ早く支給できるのは人口の少ない自治体であって、多くの自治体では今まさにSEが超短納期でシステムを構築してます。

自治体のSEをしている私もGWはほぼ毎日出勤し、当月の残業時間も100時間を超えています。
「国民への10万円支給」を実現するために、いま全国の自治体職員と自治体SEが必死になって対応しています。
この記事では10万円給付を実現するため仕組みについて、現場の最前線の状況を踏まえながらSE目線でお伝えしたいと思います。
・10万円給付が何故こんなに時間がかかるか知りたい。
・10万円が自分の手元に届くまでの手順を知りたい。
・10万円給付を実現するためのシステムに興味がある。
10万円給付の概要

今回の10万円給付の概要は以下の通りとなっています。
基準日(令和2年4月27日)において、住民基本台帳に記録されている者
給付対象者1人につき10万円
給付金の申請方法は大きく以下の3通りの方法があります。
①郵送申請方式
⇒自治体から郵送された申請書に必要事項を記入し返送する
②オンライン申請方式
⇒マイナポータルからオンラインで申請する(マイナンバーカード必須)
③窓口申請方式
⇒自治体の窓口にて申請する
自治体(市区町村)
各自治体によって決定
(※可能な限り迅速な支給開始を目指すものとされている。)
概要としてはこんな感じです。詳細は総務省のHPを参照ください。
ポイントは事業の実施主体と給付開始日です。
実はあまり知られていませんが、国が「10万円給付します」と決めても10万円の支給事務を国が直接やるわけではないんです。
実務は全国の自治体、いわゆる「区役所」、「市役所」、「町役場」なんかが10万円支給事務を行います。
そして、国から各自治体に対しては
「可能な限り迅速にすること」
という通達がなされているだけで、10万円支給の明確な期日等は決まっていないんです。

国はあくまで方針や補助金の予算を決めるだけで、あとは各自治体の裁量でこの10万円支給の事務を行うことになるんです。
10万円給付を実現するためのシステムとは

この10万円支給をやるにあたって自治体で何に一番時間かかるかというと「システム構築」です。
システムの全体像をつかむために、まずは自治体で行う事務の流れを見てみましょう。
事務は大きく以下の4つのステップになっています。
基準日である4月27日時点に住民票のある住民に対して申請書を送付します。
多くの自治体では申請書の発送事務が5月中旬~下旬にかけて実施されます。
住民から申請された申請書の受け付け事務を行います。
受付では主に添付書類(本人確認や口座情報)の確認を行い、システムへ受付情報を登録します。
申請書に記載されている口座に対しての振込事務を行います。
多くの自治体では5月下旬から6月初旬にかけて振込事務が行われます。
振込が完了した住民に対して「●●円を××口座に振り込みました」という支給決定通知書を発送します。
各事務の流れは👆こんな感じです。
10万円給付を実現するために必要なシステムとは、上記の各事務の機能を備えたシステムとなります。
4月27日時点での住民票を有している対象者を管理します。
住民からの申請情報を入力し、受付状況を管理します。
これにより2重支払いを防止します。
申請書の受付を行った住民に対して、口座への振込データを作成します。
・対象となる住民の方への申請書
・支給決定した住民の方への決定通知書
👆これらの帳票を出力します
10万円給付を実現するためのシステムはこのような機能が実装されたシステムが必要になるわけです。
10万円の支給時期が自治体によって異なる理由

10万円給付を行うために必要なシステムの話をしましたが、
実はこのあたりの機能って人口が少ない自治体であればシステムが無くてもExcelがあれば出来ちゃうんです。
例えば人口が100人の村があったとします。
その場合、わざわざ高いお金を払ってシステムを導入しなくても、
「Excelで100人のリストを作って、そこに誰がいつ申請したかを追記していく」
なんてやり方をすれば余裕で管理できます。

人口が数千人規模の自治体ではExcelで対象者を管理し、申請書や決定通知書はWord作成して対応している、なんて自治体もあるんです。
しかし、人口が1万人を超えるような自治体ではExcelやWordでやろうとしてもさすがに事務が追い付かず、専用のシステムを導入するしかありません。
システム構築にはとにかく時間がかかります。
そうなると必然的に人口が少ない自治体は支給時期が早く、人口が多い自治体は支給時期が遅いという状況になります。
少しでも早く10万円を受給するためには

結論から言うと市役所の窓口に行って直接申請するのが一番早く10万円を受給できます。(自治体によっては異なりますが。)
オンライン申請が最も早く受給できそうですが、オンライン申請って実は自治体の職員からすると最も事務が煩雑になっていて処理に時間がかかるんです。
多くの自治体では
①オンライン申請されたデータを一度紙に印刷する
②印刷した紙を見ながらシステムに受付登録をする
👆未だにこんな手順でオンライン申請の事務を行っています。

せっかくオンラインで申請したとしても一度紙に印刷していたらそりゃー時間かかりますよね。。
また郵送方式にして、届いた申請書を返送するとしてもどうしても投函してから自治体へ届くまでは1日~2日はかかってしまいます。
そうなると窓口で申請するのが一番早く受給してもらうことができるというわけです。
もちろん、窓口に人が殺到して3密の状況になってしまっては全く意味がないので感染症防止の観点からは窓口申請するべきではないと考えています。

手間や感染リスクを考えれば、おとなしく申請書の紙が届くのを待って郵送で申請するのがベストだと思います。